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赤司電機株式会社は、発電機負荷試験装置・ロードバンク、クリープ試験機、負荷抵抗器、金属抵抗器などを開発するエキスパートです。
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 大容量金属薄膜抵抗器(負荷抵抗器)

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 Akashi Electric Machinery Co.,Ltd. (English)


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無効電力の単位は「var」(バール)ですが、使う人や場所によって「大文字アルファベット」も含めることがあり、「var」「Var」「VAr」「VAR」と4通りの表記があります。少数ですが「bar」と表記する場合もあり、これも数えると5通りあり、どれも実際に使用されています。

一体、どれが正解なのでしょうか。

結論から言うと「全て小文字」の「var」です。「SI units - Electricity and magnetism」(IEC国際電気標準会議)に明記されており、国際的な取り決めです。

国内では「計量単位規則」(経済産業省)に明記されています。「SI単位のない量の非SI単位」として法定計量単位になっています(「新計量法とsi化の進め方」(経済産業省、PDFファイル/563KB)。

このようなことから弊社では、無効電力の単位を「全て小文字」のアルファベットで「var」と表記することがほとんどです。

公的団体の表記では 「電気技術解説講座:コンデンサ物語(5)」「電気技術解説講座:力率改善はどのように行うのが良いか」(いずれも社団法人日本電気技術者協会)や「初級講習用指導書(電気工学の基礎編)」(日本財団)などで「先頭だけ大文字」の「Var」が使われています。

全部大文字の「VAR」も使用されることは多く、国内の大企業が使用しているケースもあります。

国内ではあまり見かけないのですが、海外では「二文字目まで大文字」にした「VAr」をよく見かけます。これについては、単位の由来である「Volt-Ampere Reactive」のうち、「V」と「A」はそれぞれ人名ボルタアンペール)が元になっているので大文字で書き、「r」は人名ではないから小文字にする、という解釈もありました(Electric power engineering - MVA, MVAR & MW ??)。そのほか、日本国内同様、全部大文字の「VAR」など他の表記を使用するケースは多く、はっきりと意識されていないようです。

var」が国内でも海外でも厳密に取り扱われていないのはなぜでしょうか。もしかしたら「無効電力」という概念が一般にはあまりなじみがない、取り付きにくい、わかりにくい、といったことに起因しているのかもしれません。しかし、長い実務経験を持つ専門家でさえ意識していない場合が多く、IECの規定や計量法を引用して自信を持って回答できる人は少数派です。一体どうしたことなのでしょうか。

話はそれますが、「var」より重要な「小数点」の書き方については、実は国際的には明確になっていません。日本で小数点というと「.」(ピリオド)ですが、ヨーロッパ各国では「,」(カンマ)です。驚くべきことに 2003年の「第22回国際度量衡総会決議」(PDFファイル)でも決着がつかなかったのだそうです(海外と取引する場合は注意が必要な「点」です)。

※関連記事「力率:RLC三兄弟と寄り道の話」「負荷容量の話」などもあわせてご参照下さい。

 掲載:2007年2月1日

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今回は発電機負荷試験装置や負荷抵抗器の性能表示である「負荷容量」についてお話します。

負荷容量の標記は慣れない方には取り付きにくいのではないでしょうか。たとえば、弊社の乾式発電機負荷試験装置(ロードバンク)の負荷容量を表記する場合、1875 kVA (1500 kW / 1125kvar) といったように、3つの異なる数字がでてきます。これらの数字は、それぞれ下記のような意味を持っています:

★1875 kVA →皮相電力S(見かけ上の電力)
★1500 kW →実効電力P(実際に消費する電力、有効電力)
★1125 kvar →無効電力Q(無駄になっている電力)

このように3つの表記が存在するのは、試験電源が交流の場合です。

直流であれば、表記としては一つだけ:

★1500 kW

のようになります。

ではなぜ、交流だと3つの表記になるのでしょうか。それは、交流の場合、電圧に対し電流に「位相の遅れ」が生じるため、試験電源を全て消費しきれないからです。このあたりは「力率:RLC三兄弟と寄り道の話」でもご紹介しています。そちらも是非ご参照下さい。

電力は電流と電圧の積ですから、「位相の遅れ」があると、その全てを消費することができません。

そこで、位相遅れがないと考えた場合の電力(皮相電力)、実際の消費電力(実効電力)、消費しきれず無駄になる電力(無効電力)と3つの表記が出てくるわけです。

「位相の遅れ」がφとすると、この3つの表記はお互いに下記のような関係があります:

実効電力P[W] = 皮相電力S[kVA] × cosφ
無効電力Q[var] = 皮相電力S[kVA] × sinφ

位相の遅れが90°の場合、sin 90°=1 ですから、全ての電力が無効電力となります。
位相の遅れが0°の場合、cos 0°=1 ですから、全ての電力が実効電力となります

すなわち、位相の遅れにより、供給された電力が無駄になったり有効に消費できたりするわけです。

この「無駄になったり有効に消費できたりする度合い」を表す数値を力率:PF(Power Factor)といい、位相の遅れφを用いて下記のように計算します:

力率:PF = cosφ = 実効電力P[W]/皮相電力S[kVA]

力率(PF)は位相の遅れにより 0~1 の間で変化します。
力率(PF)=0 のとき、全ての電力が無効電力となります。
力率(PF)=1 のとき、全ての電力が実効電力となります。

冒頭でご紹介した弊社の乾式発電機負荷試験装置(ロードバンク)の負荷容量は
力率(PF)=0.8
皮相電力S = 1875[kVA]
の場合の値になっています。すなわち、

実効電力P = 1875[kVA] × 0.8 = 1500[kW]
無効電力Q = 1875[kVA] × 0.6 = 1125[kvar]

となっています。

このように力率により装置の設計が異なりますが、弊社ではご指定の力率にて負荷試験装置を設計いたします。力率の異なるご注文に対しては当然、負荷容量も変わってきます。そのため、お見積もりご依頼の際は最初に必ず力率調整の有無をお尋ねしております。お問い合わせの際にご留意いただけますと幸いです。

掲載:2007年1月31日

前回に引き続き、弊社の古い資料(1968年発行)により、可飽和リアクトルとは何か、分かりやすくお話します。シリーズ最終回です。

今回は可飽和リアクトルを並列運転する話です。簡単な数式を含み、理解するためには高校程度の物理・数学が必要です。では、引用です:


§5 可飽和リアクトルを並列運転と直流制御

第10図のように可飽和リアクトルを2台以上並列運転する場合は直流制御巻数は、直列に接続し直列制御電流の大きさは変えず、ただ Vc の値を変えます。

第10図

直流制御巻線容量は
Pc=VcIc (W) …(14)
但し
Vc:直流制御電圧(V)
Ic:直流制御電流(A)
で表わされる。
可飽和リアクトル直流巻線の抵抗をRcとすれば、直流制御電流Icを流すために必要な電圧Vc
Vc=IcRc (V) …(15)
である。
したがって2台以上並列に運転するときの直流制御電圧は
Vc=Vc1+Vc2+ … +Vcn (V) …(16)
であり制御容量は
Pc=Pc1+Pc2+ … +Pcn (W) …(17)
となる。
このように制御電流の大きさは変えず印加電圧および電源容量を大きくしてやれば可飽和リアクトルは何台でも並列に使うことができ各可飽和リアクトルは第(4)式の関係を保ちながら平均した負荷を各機が分担しながら調整試験できる。
しかしながら製作上の制限もあるため可飽和リアクトルの並列台数は3~4台までで間に合うよう計画するのが良い。

§6使用について
可飽和リアクトルおよびその直流制御電源はその容量により大きさも大きくなるため、甲板上または岸壁におき遠方操作盤のみを船内管制室内に持ち込んで試験するため、別紙第11、12、13、14図のような形状のものを設計製作致しております。
また、直流電源装置を可飽和リアクトル盤内に内蔵したものも製作致しております。

§7結言
以上のように水抵抗器と可飽和リアクトルを併用することにより遅れ力率の負荷が無段階に得られる。
容量、電圧、周波数、を御指定頂けばどのようなものも製作され試験可能となります。
また、水抵抗器についても溶液のふつとうによる負荷の不安定を解決した循環ポンプ付きの水抵抗器もあわせて設計製作致しますので御引合い下さるようお願いします。
以上


 ※文字使い・改行などを一部修正し、数式は新たに描き直しています。図表は当時の資料をスキャンしたものです。※製品図面など一部図表の掲載を割愛させていただきまし。た

(「可飽和リアクトル」全6回・終了)

 掲載:2007年1月29日

前回に引き続き、弊社の古い資料(1968年発行)により、可飽和リアクトルとは何か、分かりやすくお話します。

今回は可飽和リアクトルの容量選定の話です。簡単な数式を含み、理解するためには高校程度の物理・数学が必要です。では、引用です:


§4 可飽和リアクトルの容量選定について

1.励磁突入電流

変圧器を電源に接続したとき、一般に波形も大きさも異なる電流(一般に大電流)が過渡的に流れ、次第に減衰し定常状態に近づきます。この励磁開始時に流れる電流を励磁突入電流という。

イ.)第6図は電圧e が最大のとき投入したときの波形である。磁束密度 Bi (磁束/鉄心断面積)は e より位相が90°遅れている。従って磁束密度は零から変化し始めるため、突入電流は流れない。

ロ.)第7図は、電圧 e が零の点で投入したときの波形である。定常状態では、磁束密度は Bn のように変化するはずであるが投入前の鉄心には磁束がないから磁束密度は零から急に -Bm の値となりえないため零から始まって最大値がほぼ Bm の2倍位の Bi のような波形となり過渡状態を経て Bn の波形に一致する。

通常設計された変圧器の磁束密度 Bn が投入時に磁束密度 Bi が2倍となると鉄心に使用しているけい素鋼板の飽和磁束密度 Bs 以上となるため、鉄心は飽和し変圧器は空心リアクトルとなり、そのインピーダンスはきわめて小さくなるため、IR のような、とがった波形の大電流が流れる。

ハ.)第8図は励磁前の鉄心に残留磁気がある場合、それも図のように、正方向に Br だけの残留磁気があり、しかも電圧 e が零のときに、投入した場合の波形である。

BiBr から変化し始めるから ロ.) のときにくらべると、Br だけ磁束密度の最大値が大きくなり、ほぼ (Br+2Bm) となる。
したがって、その時流れる電流 IR もそれだけ大きくなる。

以上述べたことから励磁突入電流は
(1)投入した瞬時電源電圧の大きさと位相
(2)平常(投入時)の磁束密度 Bm の大きさ(設計時の磁束密度により決まる)
(3)残留磁束密度の大きさとその方向(鉄心の材質が悪いと大きい)
(4)巻線の空心のときのインピーダンスおよび電源側のインピーダンス(容量により決する)

第6図・第7図・第8図

2.前記は変圧器を例に取って述べたが可飽和リアクトルを第9図のように接続した場合も同様なことが言える。

第9図

3.ここで機器容量について述べる。
設計に当たって
容量 P (kW)  周波数 f (c/s)
電圧 V (V)  磁束 φ (マクスウェル)
電流 I (A)  磁束密度 B (ガウス)
相数 m  鉄心有効断面積 A (㎝2)
まず機器の大きさを決めるため、ターンボルト e を決める。これは e ∝ √P で容量により決められたものであり e=4.44×10-3 (V)である。

式(7)  …(7)

φ=AB であるから

鉄心断面積 式(8)  (㎝2)  …(8)

これで鉄心寸法もきまる。
次に電線の大きさは

P=VI×10-3 (kW) …(9)

式(10)  (A)  …(10)

電流密度 S (A/mm2)  …(11)

で線輪の大きさも決まります。
なお、線輪の巻数Nは

式(12)  (回)  …(12)

で計算できます。
可飽和リアクトルの設計にとってまず励磁アンペアターンをいくらに取るか決めることが第1でありますが、今容量の大小にかかわらず同一にした場合、また、電圧、周波数、形状方式を同一とすると、
容量が大きくなると→鉄心大、巻数小、直流抵抗小となる。
〃 小さくなると→上記の反対となる。
1項(ハ)(4)でも述べてるごとく、励磁突入電流は、空心時におけるインピーダンスの大小により決まる。
線輪の空心リアクタンスLは
LN2D …(13)
ただし N:巻数、D:巻数の平均直径
で計算されます。
容量が大きくなれば上式中 N→少 D→大
 〃 小さくなれば  〃  N→多 D→小
となる。
巻数は2乗に比例するため、また、巻線の直流抵抗が大きくなるため、容量の小さいものの方が、インピーダンスが大きくなり、励磁突入電流の大きさを、おさえることができます。
したがって、適正容量のものを選定することが必要であります。


 ※文字使い・改行などを一部修正し、数式は新たに描き直しています。図表は当時の資料をスキャンしたものです。

   (次回「その6」に続く)

 掲載:2007年1月28日

前回に引き続き、弊社の古い資料(1968年発行)により、可飽和リアクトルとは何か、分かりやすくお話します。

今回は可飽和リアクトルを用いて発電機の負荷試験を行う話です。簡単な数式を含み、理解するためには高校程度の物理・数学が必要です。では、引用です:


§3 可飽和リアクトル容量と発電機容量の関係

船舶用発電機の負荷試験をするには、遅れ力率 cosφ=0.8 とするために第3図(a)のように結線します。そのベクトル図は第3図(b)となる。

第3図(a)(b)

負荷特性試験は定格負荷の 0, 1/4, 2/4, 3/4, 4/4, の各負荷について測定する必要がある。その方法としてまず 1/4 ~ 4/4 の各負荷を計算しあらかじめ第1表を作成しておきます。

第1表

まず水抵抗器で電力計をみながら所要の負荷に設定します。つぎに電流計または力率計をみながら可飽和リアクトルのリアクタンスを変化させ負荷力率が 0.8 になる値までもってきます。そのときの電圧を読み発電機の電圧特性を測定します。その1例を第4図に示す。

第4図

発電機の特性もメーカーにより色々違うため第4図のような垂下特性のものばかりでなく逆のものやら 1/4 負荷位で電圧が高くなったり低くなったり色々ありますが一般に第4図の特性のものが多いようである。
このとき発電機出力 P に対して水抵抗器および可飽和リアクトルの負荷容量の分担は第3図(b)のベクトル図より負荷力率 cosφ=0.8 のとき
水抵抗器容器 W=P×0.8 (kW) …(5)
可飽和リアクトル容量 Q=P×0.6 (kvar) …(6)
となる。今仮に発電機容量が P=250 (kW) であればそれぞれ W=250×0.8=200 (kW)、Q=250×0.6=150 (kvar) の容量をもっていれば良い。したがって発電機単機容量の最大が大体きまっておれば可飽和リアクトルの容量もそれに合ったものを選び単機毎の特性試験を行い2台並列運転の場合は可飽和リアクトルも2台並列に使用すると云うやりかたが一番適当である。それは§4で述べる理由による。

第5図

また、並列運転時間が短い場合などのときは可飽和リアクトルを過負荷200%位まで使用できるものとして2台並列運転の場合でも可飽和リアクトルが1台ですむような方法を計画するとか、なおヒートランテストを並列運転で行う必要のある場合は特に長時間(1~4時間)の過負荷のきくものを計画すると云う方法が良いかとおもわれます。
当社ではこれらのことを考えて、
100% 負荷で 連続
150% 負荷または 200% 負荷で 30分、1時間、2時間、4時間 定格のものを標準として計画いたします。

したがって、各造船所でそこに合う標準の可飽和リアクトルの単機容量をきめて後で増設できるような方法をとられるのがもっとも望ましいやり方といえます。


 ※文字使い・改行などを一部修正し、数式は新たに描き直しています。図表は当時の資料をスキャンしたものです。

(次回「その5」に続く)

 掲載:2007年1月25日

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