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赤司電機株式会社は、発電機負荷試験装置・ロードバンク、クリープ試験機、負荷抵抗器、金属抵抗器などを開発するエキスパートです。
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前回に引き続き、弊社の古い資料(1968年発行)により、可飽和リアクトルとは何か、分かりやすくお話します。

今回は可飽和リアクトルの容量選定の話です。簡単な数式を含み、理解するためには高校程度の物理・数学が必要です。では、引用です:


§4 可飽和リアクトルの容量選定について

1.励磁突入電流

変圧器を電源に接続したとき、一般に波形も大きさも異なる電流(一般に大電流)が過渡的に流れ、次第に減衰し定常状態に近づきます。この励磁開始時に流れる電流を励磁突入電流という。

イ.)第6図は電圧e が最大のとき投入したときの波形である。磁束密度 Bi (磁束/鉄心断面積)は e より位相が90°遅れている。従って磁束密度は零から変化し始めるため、突入電流は流れない。

ロ.)第7図は、電圧 e が零の点で投入したときの波形である。定常状態では、磁束密度は Bn のように変化するはずであるが投入前の鉄心には磁束がないから磁束密度は零から急に -Bm の値となりえないため零から始まって最大値がほぼ Bm の2倍位の Bi のような波形となり過渡状態を経て Bn の波形に一致する。

通常設計された変圧器の磁束密度 Bn が投入時に磁束密度 Bi が2倍となると鉄心に使用しているけい素鋼板の飽和磁束密度 Bs 以上となるため、鉄心は飽和し変圧器は空心リアクトルとなり、そのインピーダンスはきわめて小さくなるため、IR のような、とがった波形の大電流が流れる。

ハ.)第8図は励磁前の鉄心に残留磁気がある場合、それも図のように、正方向に Br だけの残留磁気があり、しかも電圧 e が零のときに、投入した場合の波形である。

BiBr から変化し始めるから ロ.) のときにくらべると、Br だけ磁束密度の最大値が大きくなり、ほぼ (Br+2Bm) となる。
したがって、その時流れる電流 IR もそれだけ大きくなる。

以上述べたことから励磁突入電流は
(1)投入した瞬時電源電圧の大きさと位相
(2)平常(投入時)の磁束密度 Bm の大きさ(設計時の磁束密度により決まる)
(3)残留磁束密度の大きさとその方向(鉄心の材質が悪いと大きい)
(4)巻線の空心のときのインピーダンスおよび電源側のインピーダンス(容量により決する)

第6図・第7図・第8図

2.前記は変圧器を例に取って述べたが可飽和リアクトルを第9図のように接続した場合も同様なことが言える。

第9図

3.ここで機器容量について述べる。
設計に当たって
容量 P (kW)  周波数 f (c/s)
電圧 V (V)  磁束 φ (マクスウェル)
電流 I (A)  磁束密度 B (ガウス)
相数 m  鉄心有効断面積 A (㎝2)
まず機器の大きさを決めるため、ターンボルト e を決める。これは e ∝ √P で容量により決められたものであり e=4.44×10-3 (V)である。

式(7)  …(7)

φ=AB であるから

鉄心断面積 式(8)  (㎝2)  …(8)

これで鉄心寸法もきまる。
次に電線の大きさは

P=VI×10-3 (kW) …(9)

式(10)  (A)  …(10)

電流密度 S (A/mm2)  …(11)

で線輪の大きさも決まります。
なお、線輪の巻数Nは

式(12)  (回)  …(12)

で計算できます。
可飽和リアクトルの設計にとってまず励磁アンペアターンをいくらに取るか決めることが第1でありますが、今容量の大小にかかわらず同一にした場合、また、電圧、周波数、形状方式を同一とすると、
容量が大きくなると→鉄心大、巻数小、直流抵抗小となる。
〃 小さくなると→上記の反対となる。
1項(ハ)(4)でも述べてるごとく、励磁突入電流は、空心時におけるインピーダンスの大小により決まる。
線輪の空心リアクタンスLは
LN2D …(13)
ただし N:巻数、D:巻数の平均直径
で計算されます。
容量が大きくなれば上式中 N→少 D→大
 〃 小さくなれば  〃  N→多 D→小
となる。
巻数は2乗に比例するため、また、巻線の直流抵抗が大きくなるため、容量の小さいものの方が、インピーダンスが大きくなり、励磁突入電流の大きさを、おさえることができます。
したがって、適正容量のものを選定することが必要であります。


 ※文字使い・改行などを一部修正し、数式は新たに描き直しています。図表は当時の資料をスキャンしたものです。

   (次回「その6」に続く)

 掲載:2007年1月28日

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